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いつかは"結婚・出産"を考えている人のためのキャリア設計について【イベントレポート】

【こんな方におすすめ】
★ライフイベントを踏まえたキャリア設計に悩んでいる方
★卵子凍結について知りたいが、何から調べたらいいか分からない方

結婚・出産後も仕事を辞めずに働きたい。でも自分にそんなことできるだろうか?今からどんな準備ができるだろう?と悩む女性も多いのではないでしょうか。

この記事では、2022年5月11日(水)に開催された、ポジウィル主催オンラインイベントのダイジェストをお送りします。
100名以上のご参加希望をいただいた本イベントでは、妊活・不妊治療・卵子凍結のクリニック検索サイト「婦人科ラボ」を運営するステルラ代表の西 史織さんをお迎えしました。

27歳で卵子凍結をされた西さん、多くの20〜30代のキャリア相談を受け、自身も昨年結婚した金井の実体験も交えながら、たくさん寄せられたご質問にお答えしていきました。

【登壇者】
 西 史織(株式会社ステルラ 代表取締役)
 金井 芽衣(ポジウィル株式会社 代表取締役)

卵子凍結という選択肢

司会:まず「卵子凍結」の基礎知識を教えていただけますか?

西さん(以下、敬称略):今日ご参加いただいたからには、卵子凍結とは「どういうことをするのか」「どういうメリットがあるのか」は絶対お伝えしたいなと思っています。

まずそもそもの卵子凍結についてですが、文字通り、卵子を採取して凍結保存することで、採卵した時の年齢の卵子を半永久的に保存する技術のことを指します。

次になぜ卵子を凍結するのか?という点ですが、『量』と『質』の2つの観点があります。
まず『量』ですが、卵子の数は胎児期がピークで、出生時には200万個、思春期には30万個、性成熟期には5万個まで減ると言われています。「月経が来るたびに1つずつ卵子が減る」と勘違いされている方が多いのですが、実は卵子は毎月約1000個ずつ減っていて、そのうち1つが成長して排卵する、という仕組みになっています。また、卵子は新しく作られることはありません。『質』についても、年齢とともにどんどん下がっていきます。

卵子凍結をすることで、凍結時点での年齢での妊娠率を維持できること、年齢が若いほど多く採取できることから、卵子凍結を選択される方がいます。ちなみに男性の精子も年齢とともに質が下がり妊娠が難しくなりますが、女性と違うのは精子を新しく作ることができることです

最後に卵子凍結のステップですが、検査、排卵誘発、採卵、凍結という順序で進めていきます。凍結後は妊娠を希望するタイミングで融解し、不妊治療と同じく受精、培養、移植へと進めていきます。不妊治療の途中のステップで止めるのが卵子凍結です。

Q:卵子凍結は費用が高いイメージがありますが、どのくらいかかるのでしょうか?

西:不妊治療は2022年4月から保険適用されましたが、卵子凍結はまだ保険適用されていません。費用はクリニックや個人差もありますが、検査で4万円、排卵誘発で10万円、採卵で15万円、凍結は卵子1つあたり2万円、その後の保管も卵子1つあたり約1万円で毎年更新が必要。卵子が何個採卵できるかによっても金額は変わりますが、トータル40万円〜100万円以内にはおさまるかな、という相場観です。
自治体からの補助は現時点では残念ながらなく、メルカリさんのような先進的な企業が一部補助を出しています。

Q:凍結した卵子の保管期限に上限はあるのでしょうか?

西:ご本人が出産に耐えられるまで、です。クリニックによって保管期限は様々ですが保管期限を45歳までと定めているところもありますし、49歳までと規定しているところもあります。ただし高齢出産のデメリットや、出産の後は育児があることも考えて移植のタイミングを決められた方がいいかと思います。

Q:凍結した卵子を用いて妊娠した場合と、通常妊娠の場合、妊娠や出産のリスクはどのくらい違うのでしょうか?

西:体外受精や卵子凍結は障がい児が生まれやすいという都市伝説がありますが、有意差はありません。ただ、採卵する時の排卵誘発時にホルモン剤を使うリスクとして腹水が貯まりやすくなることや、一般的な麻酔を使用するリスクは発生します。

”結婚・出産”とキャリア設計

司会:ここまでは西さんに卵子凍結や不妊治療について詳しく教えていただきました。続いては、結婚・妊娠・出産も踏まえたキャリア設計について、ご質問にお答えできたらと思います。

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Q:まだ不確定なことを、どうキャリア設計に折り込めばいいでしょうか?

金井「こうなっている可能性があるな」という未来をあらかじめ想像しておくといいと思います。弊社の無料相談にも、結婚した、旦那さんの転勤が決まった、子供ができたなど、転機を迎えられた方が多くいらっしゃいます。ただ、様々な制約がある状態だと、取れる選択肢が既に減ってしまっていることが多いです。
例えば「子供ができたらリモートで働きたい」と思うなら、それを見越して、リモート勤務ができる職種や業界は?身につけておくべきスキルは?と考え、事前に準備しておけるとスムーズです。

西:キャリア設計については、金井さんのおっしゃる通りだと感じます。
一方で、キャリアは自分の好きなタイミングで転職もできるしコントローラブルですが、体はアンコントローラブルです。なるべくアンコントローラブルなことをコントローラブルに寄せておく。その選択肢として卵子凍結などを知っておくことで設計しやすくなるなら、念頭においてもいいと思います。

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Q:今の会社が、結婚・出産後も続けられる会社かを見極めるポイントがあれば教えてください

金井:ファクトベースで取りに行くのがいいと思います。実際に産後の女性社員が辞めてしまっている会社なら、そこで続けていくのは難しいと思うので。

何をもって産後も仕事を続けられるか?どんなふうに働きたいか?は人によって違うはずです。
現状、出産後の女性のキャリアは、他の人と同じくらいバリバリ働くか、産後ママ社員のための部署・仕事が用意されている代わりにやりがいが少ないかの、究極の2択が多いと感じます。
自分にとっての「続けられる条件」を見つけるのが大事かなと思います。

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Q:結婚と転職はどちらが先がいいでしょうか?

金井:何を優先したいかによって変わると思います。
弊社に相談に来てくださった方で、今の会社は福利厚生が手厚いが、育休後復帰してまでしたい仕事ではない、旦那さんの転勤が決まっている、いつか子供が欲しい、どうしたらいいか分からないという方がいました。
結局は、転職してやりたい仕事をする、旦那さんの転勤にはついて行かないことを決める、その上で妊活のタイミングを相談する、という着地になりました。全てを叶えることはできないので、自分にとって何が大切かを決める必要があると思います。

西:ご質問者さんの「将来を考えている具合」と、パートナーの「将来を考えている具合」が同じかが、質問文を見ただけでは分からないなと思いました。まずはそのすり合わせからなのかなと感じました。

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Q:子供を欲しいと思うタイミングが、パートナーと合いません。自分がパートナーに合わせるべきでしょうか?どうしたら2人とも満足できる結果になるでしょうか?

金井:これは話し合うしかないと思います。
自分はなぜ今子供が欲しくないのか?パートナーはなぜ今子供が欲しいのか?
質問者さんはいろいろ飲み込んで、我慢しなきゃと思っている優しい方な気がするので、そこは夫婦として率直にディスカッションしたほうがいいと思います。

西:もし年齢がネックなのであれば、受精卵凍結も選択肢としてあるなと思います。精子と卵子を受精させた受精卵を凍結することも可能です。もしそれでパートナーの不安を払拭できるなら、検討してもいいと思います。

子供が生まれた後、パートナーと話し合えないと本当に地獄だと日々思います。「産後クライシス」という言葉があるのですが、産後夫婦間の関係性が急激に悪化することを指します。原因としては女性ホルモンの影響もあるのですが、育児で大変な中、相手への不満を飲み込んでしまうことや、夫婦間できちんと話し合えていないことも関係していると言われています。子供のいないうちに話し合える関係性を作っておくと、子供が生まれてからも楽だと思うので、オススメします。

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Q:現在パートナーがいないため、独身前提でキャリアを考えてしまいます。うまくキャリア設計をするコツはありますか?

金井:独身のままでも何の問題もないと思います。ただ、少しでも結婚したいという気持ちがあるなら、結婚した場合のキャリア設計も事前に考えておいた方が安心かもしれません。

おわりに

本イベントでは、働きたい女性が働き続けるためのキャリア設計の考え方をお伝えしました。

🌸 キャリアに関する無料カウンセリングはこちらからご予約できます。
「どうやって優先順位をつけたらいいか分からない」
「ライフイベントを見越して、自分のキャリアを客観的に振り返りたい」
というみなさま、この機会にぜひご活用ください!


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